シュガーその1(9停止目)

第一話

「寒いな…」
雪の積もった公園で、男がベンチに座って震えていた。
男の名前は片桐 勉。パッとしない病弱な高校3年生。
時刻は午後9時を過ぎた頃、辺りには人っ子一人いない。
「…また、からかわれたのか」
頭に積もった雪を払い、帰ろうと立ち上がる。
「…あれ?目の前が…」
長時間寒空の下に居たからか、熱が出ている様だった。
視界が歪み、そのまま前のめりに倒れた。


「ちょ…いい加減おきろっての!!」
目が覚めて最初に見たのは、純白の逆三角形と漆黒の逆三角形。
「ん…あれ?寒くない…」
「ちょ…お前!何おっきくしてんだ!小さくしろ!バカ!」
少女が二人、黒と白の服を着て目の前に立っている。
黒い方は顔を赤くしていた。
「悪魔、それは男性が、主に性的興奮時や起床時に起きる『勃起』という生理現象で…」
白い方が、黒い『悪魔』に説明している。
「せ…説明しなくていい!」黒い方がぶんぶんと手を回した。
「あ…悪魔?」
片桐が、jr.のポジションを変えながら起き上がる。
「えぇ、彼女は悪魔。私は天使です」
「…そうなんだ…」
(天使と悪魔…上も下もロリコンなのか)
なぜか片桐は、自称『天使』の言葉を素直に信じられた。

第二話

「…俺は死んだのか?」
「はい」「そうよ」
あの後、誰にも助けられずに凍死したらしい。
「哀れに思った神と魔王は、貴方に再度命を与え、さらに、『神技』か『魔法』どちらか一つを与える事にしました」
「つまり、神か魔王どっちに命をもらうかで、能力も変わるんだ」
「能力って…なにを?」
すると、天使が白い腕輪を取り出す。
「一つは『治癒』の力。どんな病気や傷も癒せます。」
続いて悪魔が黒い懐中時計を取り出す。
「もう一つは『停止』の力。時を止める事ができるんだけど…」
悪魔がもじもじしている。
「けど?地獄確定したりするのか?」
「いえ、死後どちらに行くかは、『また』死ぬまでの日頃の行いで決まります」
「…魔王様はケチだから、30秒しか止められない。しかも、1日3回だけなんだ」
悪魔は俯いてしまった。片桐が天使をみる。
「こちらは無制限に、もちろん自分にも使用できます」
「ふむ…少し考えさせてくれ」
『治癒』と『停止』の能力。使い勝手は治癒が圧倒的に上だ。

「よし…『停止』の能力がいい」
二人とも驚いている。
「治癒なんて、宝の持ち腐れだからな」
「じゃあ詳しく説明するね!」
悪魔が笑顔で近寄って来る。

第三話

「では、私は帰ります」
天使の背中から翼が現れた。
「あぁ、なんか悪いな」
「いえ…それでは、良い人生を」
そう言うと、そのまま飛び立って行った。

「あの…こっちを選んでくれて…その…ありがとう」
いつの間にか隣りに座っている。
「…ここじゃなんだし、俺の部屋に行かないか?」
また寒さが戻って来た。悪魔も寒そうに震えている。
「そ…そうね、あんたがまた死なれても困るし」
二人は苦笑いをしながら公園を後にした。


「…と言う訳なの。わかった?」
チョコクッキーを食べながら、悪魔が喋っている。
『停止』の能力。1日3回、30秒間時を止められる。
しかし、1回1日ずつ寿命が縮む。
「気をつけて欲しいのは、連続で…最大90秒止められるんだけど、寿命がすっごく縮んじゃうんだ」
2連続で1ヶ月、3連続で1年縮むらしい。
「…マジで使えねぇな」
「し、仕方ないでしょ!地獄の道具なんだから!」
オレンジジュースを飲み干した悪魔が、じたばたやっている。
(…天使の方にすりゃよかったな)
少し後悔しながら、懐中時計を眺めた。
「時を止める…か」
チラッと悪魔をみる。ベッドに腰掛けて目を擦っている。
「試してみるかな…」

第四話

「ちょっとコンビニに行って来るよ」
片桐が持って立ち上がる。
「ん…じゃあウチも行かなきゃ…」
目を擦りながら悪魔も立ち上がった。心無しかふらふらしている。
「いや、タバコ買ってくるだけだから。寝てなよ」
軽く悪魔の肩を叩く。ずいぶんと眠かったのか、力無くベッドに押し戻された。
「…うん。あっ…」
悪魔がベッドに横になりながら、ひらひらと手を振っている。
「ふぁ…ジュースとクッキー買って来てね…く〜…く〜…」
もう寝息を立てている。片桐は呆れた様に溜め息を付いて部屋を後にした。


「ガムテープと…ビニールロープと…あった」
電動歯ブラシを手に取る。
「おっと…チョコクッキーとオレンジジュース忘れてた」
もう一つの籠に、クッキーとジュースと目一杯入れる。
「これを買う日がくるとは…」
コンドームを一箱、お菓子の籠に投げ入れる。…少し挙動普請気味だ。
「よし、これくらいでいいか…」
片桐は1万円近く払い、家路を急いだ。

「ただいま〜…っと、寝てるな…」
静かに部屋に入る。袋からガムテープとロープと電動歯ブラシ、そして…
「相手が悪魔でも…童貞卒業だよな」
コンドームを取り出した。

第五話

「勝利は緻密な作戦と、完璧な準備からだ」
片桐はタンスからバンダナとタオルを数枚を取り出した。
バンダナを適度な幅に折り畳み、その中に小さめのタオルを挟んで端を結んで固定した。
「間に合わせだが…猿轡完成」
ニヤリと笑みを浮かべる。
電動歯ブラシをケースから出し、スイッチを押して見る。
ブィーン…と先端が振動する。スイッチを切り、猿轡の横に置く。
「次はテープだな…」
ガムテープを適当に切り取って、ベッドのフレームに付けて置く。
ビニールロープも同じように切って、歯ブラシの横におく。
「これが幻のアイテム…コンドームか…」
一つを箱から取り出す。リモコンを操作して、室内の温度を上げた。

「こちらスネーク…準備は完了した」
数分後、全裸になった片桐が懐中時計を取り出す。開けた瞬間から時が止まるらしい。
「…布団が邪魔だな」
掛け布団をそっとはぎ取る。
白い肌に纏っていたのは、フリル付きの黒いシャツに丈の短い黒いスカート、そして黒いハイソックス。
「…服は…いや、あえてこのままでお願いします」
懐中時計を開ける。世界から音が消え、エアコンの風も止まった。
「これより作戦を開始する」

第六話

「活動限界まで後29秒!」
片桐が喋りながら、しかし適格に手を動かす。
膝のしたに手を入れ、ぐっと持ち上げる。
そのまま手首と足首をロープで縛り、切ってあったガムテープで固定する。
「残り11秒!目標は以前沈黙しています!」
尚も喋りながら、猿轡を悪魔の口に当てる。軽く押しつけながら頭の後ろで固定した。
「作戦、第一段階完了!残り時間後2秒!」
電動歯ブラシを持ち、すっ…と立ち上がる。そのまま悪魔に背を向け、目をつぶった。
「そして時は動き出す…」
時間が元に戻る。片桐は音を立てない様に、悪魔の足の間に潜り込む。
「ん…ふぅんっ…」
悪魔がもじもじしている。…が起きた様子は無い。
(こんな状態で寝てられるなんて…流石だな…しかし)
なにが流石なのか作者には分からないが、片桐は気にしない。
「電動歯ブラシだ!URYYYYYYY!!」
スイッチを入れ、漆黒の聖なる(?)布の上から軽く押し当てる。
「んふっ!?んんっ!?!」
秘部に違和感を感じたのか、ビクッと体が跳ねる。
「ん!?ふっ…んんっ!」
目が覚めたのか、必死に体を動かそうと暴れ出す。…が、手首と足首を拘束されていて、思う様に逃げられない。

第七話

「…ここまで動けるとは予想外だったな」
ガムテープで電動歯ブラシをクリトリスらしき場所に固定した後、立ち上がって窓を開けた。
外からから物干し竿を取り、悪魔の前に座って懐中時計を開けた。
「ザ・ワールド!!時よ止まれ!」
悪魔が止まる。すかさず足を開き、両膝の内側に物干し竿を通す。
ビニールロープで物干し竿の回りを固定し、悪魔の体を起こす。
小さく膨らんだ胸を避けながら、両腕ともグルグル巻きにして、しっかりと結ぶ。
「ふぅ…これでよし」
悪魔をベッドに寝かせた後、目を閉じて時が戻るのを待つ。
「そして時は動き出す…」
音が世界に戻り、時計が正確に時を刻み出す。
「んん!…んふっ!?んっ…」
悪魔が体の異変に気付く。ロープに巻かれた体を見ながら、尚も身をよじっている。
「これで抵抗はできないな」
片桐が悪魔の胸に手を掛ける。悪魔も必死に体をよじって抵抗するも、すぐに押さえられた。
「やっぱ反応を見ながらじゃなきゃつまらないよな」
片手で電動歯ブラシを左右に揺らしながら、服の上から優しく胸を揉む。少し小さめだが、きれいなお椀形の胸だ。
「…ん?…乳首が立ってるぞ?感じてるのか?」
わざとの耳元で囁く。

第七話

「耳まで紅くなってるよ…」
ふっと息を吹き掛ける。微かに甘い声が漏れる。
(耳が弱いのか…)
片桐の口元がニヤつく。悪魔は依然として体を動かして抵抗している。
「元気な事だな…」
そう言うと、スカートをめくりあげる。
「んっ!?んーっ!んふぅ…」
黒いパンツを少しずらし、クリトリスに直接歯ブラシを当て、固定する。
「少し待っててね…」
そう言うと、テーブルから輪ゴムを持って来る。
「頭動かしちゃダメだよ…」
髪の毛を適当に纏め、輪ゴムでとめる。
「きれいな髪だね…柔らかくて筆より…気持ちいいと思うよ」
毛先で耳を撫でる。ピクッと体が反応する。
左手で耳を刺激しながら、右手でシャツのボタンを外して行く。
「ん…?ブラはして無いのか…」
優しく手で包み込む。抵抗する力も、ほとんど無いに等しい。
軽く乳首をつまむ。悪魔が目をきゅっと瞑った。
「先っちょ弱いんだ〜、かわいい♪」
手のひらで転がすように刺激する。悪魔の動きが変わる。
「んふぅ…んっ…ふぅ…ん」
もう抵抗する気は無いようだった。というか、悶え始めている。
少しずつ、シャツを脱がせて行く。

第八話

片桐は不意に、猿轡を外してあげた。悪魔には見えない様に、指に何かを塗る。
「ん…あっ…あふっ…ぁう」
目が随分と潤んで来ている。片桐の作戦通りだった。
「さて…悪魔、お前が望むなら続けるが、もう止めるか?」
急にすべての行為を止める。悪魔が一瞬、物欲しそうな目で片桐を見つめ、はっと正気に戻る。
「なっ…と、止めるに決まってる!早くコレ…解けよ!」
また、じたばたと暴れ出すも、最初の頃の元気はなかった。
「そうか…仕方ないな、解く事は出来ないが、悪戯は止めるよ」
溜め息と一緒に、スッ…と指で小さなアワビを撫でる。
「ふぁ…ぅん」
急におとなしくなる。ニヤリとする片桐。
「あぁ、すまん、もうしないよ…」
ベットの脇に座り、ヒーターのスイッチを入れる。
暖かい風が、横から吹いて来る。悪魔からすれば、足下からだった。
「ちょ…ほどけっ…んっ?」
片桐が、悪魔に見えない様にニヤついていた。
「あぁ、ごめん、さっきメンソール系のリップを塗ってしまったんだった」
指で拭うフリをして弄る。
「やめっ!んあっ!あっ…ぁん」
「おっとごめん!悪かった、もうし…」
「やだ…」

第九話

「今なんて…?」
もちろん聞こえている。後一言…後一言で、悪魔の理性は崩壊するはずだ。
「…め…な…で…」「聞こえないなぁ…」
ヌルヌルと、幻の秘境の入口を指でなぞる。
「やめないで…もっと…してよ」
リンゴより赤くなった顔で『おねだり』してきた。
片桐は爆発寸前の欲望を必死で押さえ、悪魔のおでこにキスをした。
「頼まれちゃ仕方ないな〜」
「んぁっ…でも…お願いが…聞いてくれる?」
「…なんだ?」
「解いて欲しい…ふっ…すごく…恥ずかしい…」
子供を可愛がる様に愛撫していた手が止まる。
片桐は少し考えて、解いてやることにした。
「ふぅ…あ、ありがとう…あっ…」
自由になった体は、感覚に素直に反応した。腰が暴れている。
「あ…なぁ」
片桐が乳首を舐めながら悪魔に視線を移す。
「んふっ…あ…なに?」
「時間を止めてる時の衝撃とかどうなるんだ?」
「あんっ…それは…んっ」
時間が戻った時、纏めて伝わるらしい。
「ふーん…そっか…」
つー…と舌を這わせながら、下腹部まで下がり、おへそを舐める。
そっと、パンツを脱がせた後、空いてる手で恥丘を撫でる。
ぬれぬれになった神聖なる(?)おまんこが現れた。

第十話

「き…汚いから止めろ!」
悪魔が両手で頭を股から押し返そうとする、が、あっさりと払いのけられた。
「汗と愛液で…たまんねぇ…」
無我夢中で舐め回す。舌を中に押し込むと、悪魔がビクビクと震えた。
「ちょ、ふぁ!んっ!やめっ…あっ?」
先ほどまで頭を押していた手はシーツを掴み、快感に溺れている。
クリトリスを丁寧に舐めあげる。
「あっ!そこっ…ダメあっ!…ぅうん」
悪魔の秘密の入口が『おいでやす〜』とぱくぱくしだした。
「もう…だめだ…」
先ほどから先発隊が止めど無く吐き出されているjr.を、悪魔のブラックホールに押し当てた。
「うりゃっ!…うはっ…キツキツだわ…」
魔法の洞窟は動く度、中のヒダが絡み付いて来る。
「あっ!ちょっ!ぬいって!生は…あんっ…も…もう」
さらにきつく締め付けて来た。絶頂が近いようだ。
「俺…もぅ…」
「オレも…イクいく…あっ…いくっ…!」
最強のチンコホールドをかけられる。
「くっ…中で…うっ」
「だ、め…んぁ?…あっああぁっあっんあっあぁあ!?」
悪魔が天に召された(?)時、白き分身たちが、大量に悪魔の中に突撃していった。
片桐は快感が終わると、崩れるように悪魔に覆い被さった。

第十一話

鳥が鳴く声が聞こえ…
「へぶっ!?あ…あがっ…」
顔に味わった事の無い痛みを受け、目を覚ます。
「起きろ強姦魔」
悪魔がフライパンを持って覗き込んでいた。
「あ…おま…鼻血出たんですが!?」
「鼻血で騒ぐな!オレなんかおま…言わすな!ばかっ!」
もう一度フライパンとキス(?)を交わす。

「…で、あんな事したんだから責任取れと」
なぜか準備してあった朝食を食べる。
「当たり前だ!魂奪ってもいいんだぞ?でも…責任とるなら〜許してあげない事もない」
クッキーをぽりぽりと口に運ぶ。喉に詰まったのか、オレンジジュースで必死流し込む。
「要するに、俺が死ぬまで側にいたいって事か」
「なっ…なんでそうなる!オレはお前が可愛そうだから――」


「――そんなこんなで、悪魔の彼女と『停止』の能力を手に入れたわけだ。
まぁ「寿命が縮むから」って使わないように言われてるけど。

…悪魔の名前?あぁ、チョコクッキーばっか食べてたから、『チョコ』って呼んでるよ。

っと、早く行かないと子供の発表会なんだ。悪いね!」

片桐が走って行った先には、あの頃の面影を残した『悪魔』が、小さな『天使』を連れていた。


おわり

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