ソルトその1(31停止目)
loop and loop
日付は4/12。
時刻は0:00:00。
僕は少し思考してから、彼に語りかけた。
「loop and loop」
やあ、君は今日死ぬんだ。
でも大丈夫、そうならないために僕が来た。
さて、まずは4/12の君の一日を予言しようか。
7:10に母・妹と朝食をとる。
【詳細】
まず朝の朝食を紹介しよう。
昨日の晩御飯の残りの肉じゃがと味噌汁、目玉焼きに、それと白米。
醤油が残り少ないので、君が食べている途中で妹が母に醤油が切れたと言う。
7:55に家を出る。
【詳細】
4/12は燃えるごみの日で、隣の隣の家のおばさんがごみステーションにいる。
今日は登校途中で友達に会うことは無い。
さて、学校はいつもどおりに進行する。
【詳細】
一時間目現代文、二時間目物理。
三時間目は先生が来るのが5分遅れて英語。
四時間目は数学?、当てられる。
昼食の弁当は鳥そぼろ、卵焼き、冷凍食品のコロッケ、etc...
五時間目倫理、六時間目HR。
15:15。帰りのHR。掃除当番も無い。帰宅。
【詳細】
部活動に入っていない君は帰宅する。
その途中、変な男に君は刺される。
何の脈絡も無く。
冷酷に、無残に腹をブスっと。
腹を割かれる感覚はひどく記憶に残るよ。
23:55頃、君は目覚める。
【詳細】
病院のベッドのようだね。
口に変なマスクをかぶせられ、左腕にはチューブが3本。
胸に心電図のセンサーが付いている。
君はあまり動けない。
ふと、時計を見る。
枕もとにあるアナログ時計によると、日付は4/12。
時刻は、あと3分弱で次の日のようだ。
そこで意識が消える。
理不尽で、無残で、残酷な死だね。
さて、僕はこうならないために君のところにやってきたんだ。
そいつは、僕だった。
まったく僕と同じ顔をして、体をして、服を着ていた。
仮にそいつをドッペルと呼ぼう。
朝起きて、学校へ行き、下校した。
そしてドッペルは、変な男に僕が刺されるところで僕とすり替わった。
刺されるはずの僕が生き残り、ドッペルが刺された。
ドッペルは病院に運ばれていく。
口に変なマスクをかぶせられ、左腕にはチューブが3本。
胸に心電図のセンサーが付いている。
ドッペルはあまり動けない。
日付が変わる3分前に死んだ。
気が付くと僕は4/12、0:00:00の僕の部屋にいた。
目の前には僕がいる。
僕はドッペルになっていた。
少し考える。
僕(ドッペル)が彼を助けないとどうなるのか。
彼を助けて僕が刺されれば、彼は生き残る。
でも、彼がそのまま刺されれば、僕は生き残ることができる。
しかし僕の存在は、彼が刺されてしまえば掻き消えてしまわないだろうか。
彼が死んでしまえば、今日ドッペルは作られない。
すなわち、僕は作られないことになる。
仮説に過ぎないが、その可能性は十分にある。
僕は死ぬのが怖かった。
僕という存在が消えてしまうのが怖かった。
永久にループするとわかっても、僕という存在が消えてほしくは無かった。
彼に語りかける。
「やあ、君は今日死ぬんだ。」
loop and loop /