刹那その6(9停止目)

今日もまたつまらない日々が続く
ただ学校に行って、帰って寝る
そんな感じで時が過ぎていく
だが、俺は気には止めない
俺の名前は榊健志(さかきけんじ)高校3年だ
 「健志、何考えてんだ?」
こいつの名前は杉本栄治(すぎもとえいじ)そこそこ親しい奴だ
 「人生暇だなって」
 「またかよ・・・そんなの考えたって仕方ないだろ」
 「ああ知ってるよ、暇だけど、人生に疲れた」
 「じゃぁ寝てろよ」
5時間目のチャイムが鳴る
俺は寝る事にした、怒られる事は無い
寝ていても結果を出すからである、成績は常に3番以内
授業中これだけ寝てても結果を出すのは俺だけだ
なぜなら俺は帰ってから勉強するからである
正直なところを言うと俺は独学派だから
ただ俺は目的も無く勉強する、それを疑問に思いながら・・・
5時間目が終わり、6時間目も終わる
帰り際、話しかけてきた女がいた
彼女の名前は神崎桜(かんざきさくら)俺の幼馴染に勝手になった奴だ
桜はとても強引である、俺の家によく上がりこんでくる
 「今日、家に行くね」
 「来るな」
 「どうせ暇なんでしょ、行くから待っててね」
桜は俺の言葉を聞かずに行ってしまった
まあ、いつもの事だから気にしない

家に着く
それと同時に桜が来た
 「着替えるから待ってろ」
そういって俺は玄関のドアを閉めようとする
すると、彼女の足がドアを閉めまいと入り込んでくる
 「駄目、家に入れてくれないから」
 「大体、俺は桜を呼んでもいないし、来ていいとも言ってない」
 「それは健志の事情、私は行くって言ったんだから
  入れてちょうだい」
さすがに疲れてくる、これ以上口論を続けるのもめんどくさい
俺は桜を入れることにした
 「お茶ちょうだい」
 「自分で入れろよ」
 「お客様にお茶を出すのは常識だよ」
俺は仕方なく、お茶を入れる
 「そういえば、また考えたんだって?」
 「なにが?」
 「人生暇だなって、杉本君から聞いたよ」
 「疲れる原因は桜がいるせいだな」
 「気のせい、気のせい
  で、暇なら私がデートをしてあげよう」
 「1人で行け、俺はそこまで暇じゃない」
 「えっと、今度の日曜日がいいな」
 「人の話を聞け」
 「よしっ決定、今度の日曜日ね
  さて今日は用事が済んだし帰るね」
そして桜は帰っていった
いつもこんな感じに約束をさせられる
それを守る俺もどうかと思うがな・・・

次の日の朝
不思議な現象が起きた
壁から男が出てきた
 「お前に時間を30秒止める力授けよう」
 「まだ、朝飯食ってなかったな」
俺はそう思い、男の話を聞かずに飯を食べた
 「話を聞かんか」
 「聞きました」
 「じゃぁ何でそんな力くれるんだとか、聞かないのか?」
 「別に知らなくてもいいことだろ」
そういうと家の呼び鈴がなった
 「話を聞いてくれ・・・」
俺は玄関まで行きドアを開ける
 「おはよう」
元気よく挨拶してくれるのはいいのだが、まだ朝だぞ
俺はドアを閉めようとすると桜が急いで止めてきた
 「ちょ、ちょっと何閉めようとしてるの」
 「まだ朝だ、帰れ」
 「おじゃましま〜す」
時すでに遅し、桜はもう家の中に入っていた
 「流氷が来てるんだって」
 「そうですか」
 「流氷見に行こうよ」
 「やだ、めんどくさい、寒い」
 「家から近いからいいじゃない」
桜はそういい、俺の手を引っ張っていく

そして俺は見事に海まで連れてこられた
 「綺麗だね」
 「最悪、もう帰ろうぜ」
 「さっきから文句ばっかり言って、嫌われちゃうぞ」
 「誰にだよ」
 「私に」
 「ならいい、帰る」
 「ちょっと待ってよ」
俺は急ぎ足で彼女を置いて行く
後ろでなにやら音がした
 「まったく、騙されないぞ、どうせ石か何か投げたんだろ」
桜は答えなかった
俺は振り返ってみてみる
桜が溺れていた、すでに沈みかけている
俺は桜のほうにむかって走る
その間、桜はどんどん沈んでいく
俺はさっき男に言われた事を思い出した
 『お前に時間を30秒止める力を3回授けよう』
もし本当なら止まってくれ
そう思いながら俺は桜を助けるため、海に飛び込む
海の中は視界が悪かったが、なんとか桜を見つける事が出来た
彼女は止まっていた、どうやらさっきの話は本当のようだ
俺は、急いで桜を引っ張り、陸に上がる
どうしよう、ここらへんに病院はないし
このままだと凍死してしまうかもしれない
俺はとりあえず桜を抱え、家にむかって走った
家に着くころには俺の体も冷えていたが、今は桜だ
どうすればいい、とりあえずこの服を・・・
しかたない、命に関わる問題だ
俺は桜に、心の中で謝りながら、服を脱がし
布団に寝かす、そして俺は家中にある布団を掛けてやる
それから暖房の温度も上げた、これで大丈夫かな
俺は心配だったが、とりあえず着替える事にした
着替え終わり、桜の様子を見に行くと、すでに起きていた
 「大丈夫か?」
 「うん、多分大丈夫」
 「大体、泳げもしないのに海に行くなよな」
 「ごめん」
いつもの桜だったら言い返してくるのに、今日はずいぶんと大人しいな
まあ、それも仕方ないか、さっきまであんな目にあっていたのだ
 「まあ、大人しく寝てろ」
 「うん、ありがと」
そういい俺の側に座った
 「その・・・」
 「なんだ」
 「見た?」
 「・・・見た、しかたないだろ」
 「うん、そうだね」
俺はそれから桜が回復してから、着替えられるように部屋から出て行った
そして桜を家まで送っていった

翌日、学校で桜にあった
桜に挨拶しようとしたが逃げられた・・・
まあ、仕方ないか、昨日見た事もあるし、避けられるよな
もしかしたら、ずっと避けられるかもしれないな
そんな事を考えながら、学校で過ごした
帰り際、桜が話しかけてきた
 「今日、家に行くね・・・」
 「あっ、ああ」
俺は断れなかった、いつもの桜なら断ったのに
今日の桜は、いつもと雰囲気が違った
話す時に恥ずかしがっていたような・・・そのせいか、いつもよりかわいく見えた
その後、家に桜が来たがすぐ帰ってしまった
何か気になったので桜の家に行ってみることにした
そうしたら桜の家が燃えていた
桜のお母さんが叫んでいた
 「中に、中にまだ桜が!」
どうやら、まだ中に桜がいるようだ
しかし、火が強いため誰も入っていけない
俺は時間を止めた
そして家の中に入る
時間が止まっているといっても暑いのには変わりは無い
だが火が強まる事は無い
桜がいた、桜は床に寝ていた
俺は桜を抱きかかえる
30秒がたったようだ
火が燃え盛っている
その中に、あの男がいた・・・
 「いい加減に気づけ、榊健志」
 「なにがだ」
 「これはお前が生み出した夢だ」
 「夢?」
 「正確に言えば、お前と彼女のだ・・・彼女はすでに死んでいる」
 「何をでたらめな、これが夢だって?」
 「そうだ、お前が彼女を助けたいと思う気持ちと
  彼女のお前に会いたいという気持ち、それがこの夢を生み出したんだ
  だから彼女は常に危険な状態に陥る、そして、それをおまえが助ける
  そう、それがおまえ助けたいという思いだ」
 「お前は・・・何者なんだ?」
 「俺か?俺はお前達を目覚めさせるために存在するもの・・・
  簡単に言えば死神みたいなものだ」
そういうと死神はどこから出したかわからないが、大きな鎌を持っていた
俺は殺されると思い、急いで走る
だが、俺は無常にも後ろから首を跳ね飛ばされた

俺は目覚めた
首を触ろうとするが手が動かない
だが生きているという事は首があるということだ
あれは・・・夢だったんだ
俺は思い出した
俺と桜は車に引かれたのだ
横を見てみると桜がいた
桜の周りには医者や看護婦がいた
医者が心臓マッサージをしている
やがて医者は手を止め、腕時計を見る
そして言い放った
 「御臨終です」
そんな、桜は逝ってしまった
俺の目の前で・・・
俺には見ている事しか出来なかった
やがて、俺は眠りについた

俺は夢を見た
 「健志、起きて」
声を掛けてきたのは桜だった
 「いや、ずっとこのままでいい」
 「どうして?」
 「俺が起きても、そこには桜がいない
  夢の中ならずっと一緒だ」
 「大丈夫、だから起きて・・・」
 「・・・わかった」
そうして俺は目を覚ます
そこは病室だった
手には暖かい感触があった
桜が俺の手を握っていた
 「健志・・・」
桜は泣きながら俺の名前を呼んだ
 「どうした」
俺がそういうと桜は俺が起きていることに気づいたようだ
 「起きてたの?」
 「誰だよ起こしたの、桜だろ」
桜は何の話をしているのか分からないようだ
 「夢の中で話しかけてきたの桜だろ」
 「・・・うん、そうだね」
桜は優しく返事を返してくれた
 「ごめんね・・・」
 「なにが?」
 「私のせいで・・・」
俺は考える
段々と思い出してきた
俺と桜が引かれたのではない
桜が引かれそうになったのを俺が助けて
俺が引かれたのだ
 「まあ気にするな、生きてるんだから」
 「でもさっきまで死んでたんだよ」
 「・・・気にするな」
俺は願う、時間よ止まれ
しかし、時間は止まらなかった・・・
そう、あれは夢だったのだ
死の間際に見る夢
だが、俺はその夢で桜が好きな事に気づいた

数ヵ月後
俺は桜と一緒にいた
いつもならつまらない日々の続きなのだが
あの日、桜への気持ちに気づいたときから
それはつまらない日々ではなくなっていた・・・

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