喪吉その5(42停止目)

復讐者

朝夕すっかり冷え込むようになった11月初旬、
太陽さえ出ていれば、日差しで暖かい昼下がり。
相田 喪時(あいだ そうじ)はぼーっとベランダで
タバコを燻らせていた。

喪時は相田家の一人息子として生まれ、大学卒業後すぐに、
居眠り運転のトラックに巻き込まれ、両親を無くしている。
喪時は、その時決まっていた就職先を蹴り、現在までの5年間を
親の遺産と、事故の慰謝料とで暮らしている。
いわゆる、引き篭もりと言うやつだ。

夜中までネットゲームをやり、午前中いっぱい寝ていたが、
まだまだ眠い。
「ふぁあぁ・・・。さて、食料の買出しでもして来るかな。
はぁ。面倒臭せぇ・・・」
喪時がベランダで欠伸をしようと、上を向いたとき、
屋上に、人影らしきものが見えた。

「ん? なんだ?」
喪時は気になり、ベランダから身を乗り出して見上げると、
人影が飛び降りるのが見えた。
喪時の部屋は10階建てマンションの9階。
飛び降りた人影が、見る見る喪時の方へ近づいてくる。

「う、うわ! と、止まれ!」
辺りに静寂が訪れ、すべての物が停止する。
屋上から飛び降りた人影は、喪時と衝突寸前で停止した。
どうやら、人影の正体は、制服を着た女の子のようだ。
歳はまだ14〜15歳だろうか、あどけなさが残る少女だった。


喪時は、人とは違う能力を身に着けていた。
時を止める能力。止められる時間は、ごく短く、30秒程度である。
20歳の時に、父親からこの能力を引き継いだ。
相田家の長男には、代々この能力があるらしい。
息子が20歳の誕生日を迎えると、この能力を息子に引継ぎ、
能力を失うのである。
喪時の父親も、この能力を息子に引き継がなければ、居眠り運転
のトラックに巻き込まれることは無かったかも知れない。
両親が死んだ時、喪時はこの能力を引き継いだことを恨んだ。
自分さえ、この能力を引き継がなかったら・・・と。

喪時は、止まった時の中で少女をベランダに引き込み、少女を抱き抱えた。
止まった時の中でも、物を動かしたりすることは可能だ。
しかし、その物体に掛かっていた運動力、つまり、慣性の法則から
は逃れられない。
時が動き出すと、少女が2階から飛び降りた力と同じ力が喪時の腕に掛かり、
喪時は、少女に潰される様に倒れ込んだ。

「いった〜・・・。やっぱ、無茶だったか・・・」
喪時は、少女の下敷きになり、身動きが取れない。
頭だけ少女の方へ向け、少女が無事なのを確認する。
「え? なんで? 屋上から飛び降りたはずなのに・・・」
少女は喪時の上で、現状が把握出来ずに、戸惑っている。
「あ、あのさ、とりあえず、俺の上から降りてくれない?」
少女が喪時の声に気付き、慌てて立ち上がった。
「ここはどこ? 私、屋上から飛び降りたはずなのに・・・」
時が止まったことを知らない少女としては、その疑問は至極真っ当なものだろう。
少女にとっては、屋上から飛び降り、落下し始めたと思ったら、
喪時の上に乗っていたのだから。

「ふ〜、痛たたた・・・」
喪時は背中を摩りながら、立ち上がった。
「あなたが、私を助けたの?」
「ん? あぁ、そうなるかな」
「なんで? 何で助けたりしたのよ! 死にたかったのに!」
「なんでって・・・。上から急に降ってきたからさ。
その、そう、条件反射ってやつだよ」
特に喪時の趣味には、人助けと言う言葉は無いが、あの状況なら、
大抵の人は同じ事をしただろう。

「そう、条件反射か・・・。なら、今度は助けないでね!」
そう言うと、少女がベランダの手摺りに手を掛けた。
「ちょ、ちょっと待て! 止まれ!」
少女がベランダの手摺りに手を掛けた瞬間に、喪時の能力が発動する。
「何なんだよ、この子は・・・」
さすがに、半ヒッキーな生活をしている喪時にしても、自分の部屋の
ベランダから飛び降りられるのは、決して気持ちの良いものではない。
喪時は少女を抱え、部屋の中に入れ、テーブルの前に置いた。
そして念のため、部屋の窓を閉めると、鍵を掛けた。
「これで、いきなり飛び込まれるってことはないな」

改めて少女を見てみると、近所の中学生らしい。
コンビニなどで何度か見かけたことのある制服だ。
「しかし、何で中学生が自殺なんか・・・」
喪時が少女を見ながら思案をめぐらせていると、時が動き始めた。
動き始めた少女は、ベランダの手摺りだと思いテーブルの端に乗り上げる。
ごぃ〜ん。
「あぅ!」
鈍い音の後に、短い悲鳴が部屋の中に響き渡る。
テーブルがひっくり返り、少女の額に直撃したのだ。

「あら・・・」
少女がテーブルの直撃を受け、喪時の足元でピクピクしている。
「え〜と・・・」
喪時が後頭部をポリポリ掻きながら、少女を突いて見る。
どうやら、少女は失神してしまったらしい。
喪時は失神した少女をベッドに寝かし、赤く腫れ上がった額に濡れタオル
で冷やした。

「ん、ん〜、いたたた・・・」
半時ほど経過し、少女が目覚めた。
「ここは・・・?」
少女は上半身だけ起き上がり、部屋の中を見回した。
「私、マンションの屋上から飛び降りて、男の人の上に乗っかってて、
また飛び降りようとしたはずなのに、何でベッドで寝てるの?」
「目が覚めた?」
少女の声が聞こえ、喪時が部屋の中へ入ってきた。
「あなたは誰?」
「俺の名前は喪時。君が飛び降りようとしたマンションの住人だよ」
「何で、私はベッドで寝てるの?」
喪時は、少女が眠っていた間に考えた言い訳を話し始めた。

「君が飛び降りたときに、すぐ下の俺の部屋のベランダに引っ掛かったんだよ。
何か事情があるんだと思って、警察には連絡しないで、とりあえず、
俺の部屋のベッドで寝かせておいたんだ」
「私、あなたの上に落ちたんじゃ? それにこの額・・・」
「額は引っ掛かった時に、に何処かにぶつけたみたいだね。
頭をぶつけた衝撃で、一種の記憶障害が出てるんじゃないかな?(汗)」
「そう・・・。失敗しちゃったのか・・・」
「何でまた、自殺なんてしようと思ったの?」
「・・・」
何か余程の事情があるのか、少女は自殺の理由を話そうとはしなかった。
「まぁ、言いたくないなら言わなくてもいいけどさ・・・」
二人の間に沈黙が訪れる。

「私、帰ります」
少女がベッドから起き上がり、部屋の外へと出ようとする。
「え、あぁ。え〜と、もう、自殺なんてしないよね?」
少女が一瞬こちらを向き、無言でドアへと向かった。
「ちょっと待てよ!」
喪時が少女の腕を掴み、引き止める。
「あなたには、関係ないでしょ?」
「関係ないと言われれば、関係ないけどさ・・・」
「だったら、離してよ!」
少女をこのまま帰したら、きっとまた自殺してしまうだろう。
喪時は少女の腕を掴むが、少女も必死に抵抗する。
「だけど、自殺はだめだって!」
「もう、離してよ!」

がぶ!

少女が喪時の腕に噛み付いた。
「いてぇ!」
少女に噛み付かれ、喪時は少女の腕を離してしまった。
喪時の腕から逃れた少女は、玄関へと走り出した。
「止まれ!」
喪時が時間を止める。
「お〜、いててて・・・。思いっきり噛みやがって」
喪時は少女に噛まれた腕を摩りながら、少女の前へと回り込む。
少女に噛まれた腕には、くっきりと少女の歯形が残り、薄っすらと
内出血していた。

「ん〜、良く見ると、結構可愛い子だな。こんな子が自殺なんて
勿体無いよなぁ。もしかすると、将来この子が俺の恋人になる可能性
だって・・・ないな。うん」
喪時は少女の前で、一人頷いた。
そして、時が動き出す。
どんっ
少女が前に回りこんだ喪時とぶつかりった。
体格の違いか、少女は喪時に弾かれ、尻もちをついた。
「いったぁ・・・。あれ? なんで前にいるの?」
喪時は玄関前に仁王立ちになり、玄関を塞いだ。
「ちょっと、どいてよ!」
「だめだよ。ここを退いたら、また自殺しに行くんでしょ?
だったら、通せない!」
「あなたには関係ないじゃない!」
少女が喪時の横を通り、無理やり玄関に行こうとする。
「だから、自殺しに行くなら、通せない」
「通してよ!」

自殺をしよう玄関に向かおうとする少女。
それを阻止しようとする喪時。
二人はもつれ合いながら、倒れこみ、喪時が少女に馬乗りになった。
「なんで、自殺なんてしようとするんだよ」
喪時が暴れられないように、手を抑えながら言った。
「だって、もう生きてるのが辛いんだもん・・・」
少女の目に涙が溜まり、少女はやがて泣き始めた。
「あわわ・・・。ご、ごめん。どこか痛かった?」
喪時は立ち上がり、少女を助け起こしながら聞いた。
少女は手で顔を覆い、首を振った。
「あ、あのさ。俺で良ければ、話を聞くからさ。ほら、良く言うじゃん。
他人に話せば、多少気が楽になることもあるってさ。
身内や、学校の先生に話せないことだって、まったくの赤の他人なら
話せることもあるだろうしさ」

喪時の説得が効いたのか、少女は多少落ち着き始め、喪時に促されるまま、
椅子に座った。
少女がぽつり、ぽつりと話し始め、喪時は最後まで大人しく話を聞いた。
話を要約すると、こういうことだった。

現在少女はイジメの対象になり、イジメを率先しているのが、かつて
親友だった智子と言う少女。
少女には、原因が判らず、イジメを学校の先生に訴えたが、
「対処しておく」だけで、何もやってはくれなかった。
両親は口を開くと「勉強しろ」で、取り付く島も無く、相談する相手も
いないまま、イジメはエスカレートして行った。
少女はヤリマンと言う噂を立てられ、それを聞いたヤンキーに呼び出され、
輪姦された。
そのことを親に言ったが、親は世間体を気にしてか、少女の言うこと
信用してないのか、取り合ってはくれなかった。
やがて、少女がヤンキーに輪姦されたている画像がクラス中に配信されて
しまい、彼氏と別れてしまった。

少女は話し終えると、テーブルに突っ伏して、再び泣き始めた。
喪時は、少女のあまりにも重い話に、掛ける言葉を失った。
確かに、中学生の女の子が、そんなことをされたのなら死にたくなる
気持ちも判る。
許せないのは、少女の訴えを無視した大人たちである。
喪時は少女に掛ける言葉を捜したが、なかなか声にならない。

「え、えっと・・・。そ、そうだ。君さえ良ければ、しばらくここに居る?
ここは俺しか住んでないし、両親と死に別れてからずっと引き篭もってる
から、ここには他の誰もこないしさ。
ここに居れば、学校にも行かなくていいし、両親にも会わないで済むしさ。
それに、ほら、自殺するにしても、今すぐじゃなく、しばらくここに居てから
だって出来るんだし・・・」
喪時が説得をしようと話し始めるが、話の内容が支離滅裂になってくる。

やがて、少女が泣き止み顔を上げた。
「あはは・・・だ、だめ・・・だよね?」
少女が首をフルフルと振った。
どうやら、少女は俺の提案を受け入れてくれるらしい。
「あ、あは。えっと、俺はそうじ。相田喪時」
「まなみ。岸田愛美」
「よろしく」
喪時は愛美に握手を求め、愛美もそれを受け入れた。
愛美の手は小さく、そして暖かかった。
こうして、喪時と愛美の奇妙な同居が始まった。

ぐ〜。
喪時の腹の虫が鳴いた。

「そういえば、飯買いに行くつもりだったな。お腹減らない?」
愛美がコックリと頷く。
「よし。それじゃ、他の買い物もあるし、隣町のスーパーに行こうか。
車で行けば、知り合いにも出会わないだろうし」
そういうと、喪時と愛美は地下駐車場に向かった。

スーパーに到着すると、二人は買い物を始めた。
喪時は一人っ子なので、愛美と買い物をしていると、妹が出来たみたい
な気分になり、心が弾んだ。
ひと通り買い物を済ませ、喪時と愛美は車へと向かう。

「愛美!」
前方から、愛美の名前を呼ぶ声が聞こえた。
声の主は、金髪の若者だった。
その横には同じような雰囲気の黒髪の男。
見た目から、ヤンキーと呼ぶのに相応しいやつらだ。
愛美は声の主を見ると、喪時の後ろに隠れた。
喪時は愛美の態度から、愛美を輪姦したやつらだということを感じた。

「愛美、今度は援交かよ?」
金髪のヤンキーが、喪時の後ろに隠れた愛美に向かった言った。
喪時の背中に、愛美の震えが伝わる。
「ちょ、やめ・・・」
「おっさん、邪魔だよ!」
喪時は止めさせようとするが、黒髪のヤンキーが喪時と愛美を引き離す。
「なぁ、愛美。俺ら暇なんだよ。またいいことさせてくれよ」
金髪のヤンキーが愛美の肩を抱き寄せる。
「おい、止めろよ!」
喪時が金髪のヤンキーと愛美の間に入り、愛美から金髪のヤンキーを離そうと
する。
「おっさん、うるせぇんだよ!」
黒髪のヤンキーが喪時の肩を掴み、殴り掛かろうとした。
「止まれ!」
喪時が殴られる寸前に時間を止める。
黒髪のヤンキーはパンチを繰り出した状態のまま止まった。

ボクシュ! ボクシュ! ボクシュ!
喪時は黒髪のヤンキーを力の限り、殴り続ける。
「ハァハァハァ」
普段の運動不足のせいか、すぐに息が上がってしまったが、数十発は殴った。
時が動き、数十発のパンチを食らった黒髪のヤンキーが膝を折る。
「ハァハァ・・・」
喪時は黒髪のヤンキーの前で、息を整え始めた。

「てめぇ!」
がきっ
金髪のヤンキーが喪時の後ろから、腕で首を絞めた。
「ぐ・・・」
喪時は首を絞められ、声を上げることができない。
渾身の力を込めたはずの喪時のパンチも、さほど効いていなかったのか、黒髪の
ヤンキーが立ち上がった。
「よくもやりやがったな!」
黒髪のヤンキーがポケットからナイフを取り出し、喪時をナイフで突き刺そうと
する。

(やばい!)
「と・・まれ!」
喪時はなんとか金髪のヤンキーの腕を喉から離し、時を止めた。
「げほげほ・・・」
喪時は首を抑えながら、金髪ヤンキーの束縛から逃れると、刃先は喪時から10cm
ほどのところで止まっていた。
「まったく、あぶねぇなぁ」
喪時は黒髪のヤンキーの腕を少し上げ、手首を捻った。

ナイフで人を刺すとき、ナイフを立てたまま刺すと、ナイフが肋骨に引っ掛かり、
心臓を刺すことができない。
ナイフを横に向けることで、肋骨の間をナイフが通り抜け、ナイフの刃が心臓
に到達するのである。

時が動き始め、ナイフが吸い込まれるように、金髪ヤンキーの胸に刺さった。
「がは・・・」
金髪のヤンキーは力なく、うつぶせに倒れ、辺りに血溜まりが出来た。
「ひ、人殺し〜」
どこからか、女の声が聞こえた。

「え?」
黒髪のヤンキーは、崩れ落ちた金髪のヤンキーと自分の手を交互に見つめた。
「お、俺じゃない。俺が刺したんじゃねぇ・・・」
黒髪のヤンキーはナイフを投げ捨て、車道の方へ逃走した。
キキィ〜。バン。
黒髪のヤンキーが車道に飛び出すと、トラックが走りこんで来た。
黒髪のヤンキーがトラックに轢かれ、前輪に巻き込まれた。
あの状態では、助からないだろう。

金髪のヤンキーの周りと、トラックの周辺に人が集まり始めた。
喪時はギャラリーが二人に気を取られている隙に、愛美の手を取り
車へと走った。

車に乗り込むと、愛美は事態を把握したのか、震え始めた。
「大丈夫。大丈夫だから。
もうやつらが愛美に手を出すことはないから」
喪時が愛美を抱きしめ、落ち着かせる。
「い、痛い・・・」
力を入れすぎたのか、愛美が痛みを訴えた。
「あ、ご、ごめん」
喪時が愛美を放した。
車内に沈黙の空気が流れる。
「えっと、取りあえず家に帰るね」
喪時は再び車を走らせ、家に向かった。

「あれ、あなたがやったの?」
自宅に帰ると、愛美が小さな声で先ほどのことを聞いた。
「え? あ、あぁ。うん。まぁ」
喪時が曖昧な返事を返す。
「どうやって?」
俺は時を止められることを、愛美に話した。

時を止めることを聞いた愛美は、さほど驚いた様子は見せなかった。
「あまり驚かないんだね」
「え? 驚いてるよ。でも、時間が止められるなら、今日起こった出来事が
全部納得できる。後ろに居たはずなのに前に回り込んだり、殴られそうに
なったのに、反対に相手を倒したりとか・・・」
「そっか。よし、それじゃ、晩御飯にしよう。俺、腹減っちゃったよ」

スーパーで買ってきた惣菜を並べ、夕食を食べ始めた。
「あの二人、死んじゃったかな?」
「あの状況だからね。金髪の方は心臓を刺されたし、黒髪の方はトラックに
捲き込まれたからね。まず助からないよ」
「そう・・・」
「あの二人だったんだろ? 愛美に暴行したのは」
「うん・・・」
しばらく、二人は沈黙したまま夕食を食べ続けた。

「人って、簡単に死んじゃうんだね・・・」
愛美が沈黙を破るように、話し始めた。
「うん。人は簡単に、あっけなく死んじゃうんだよ・・・」
俺は両親のことを思い浮かべながら答えた。
「そっか。簡単に死んじゃうんだ・・・」
愛美は、何かを思いつめたような顔で呟いた。
「さて、飯も食ったし、先風呂入っちゃいなよ。
その間に、向こうの部屋に布団用意しとくからさ。
今日はいろいろ有って疲れたでしょ」
「うん。そうする・・・」
愛美は食器を下げると、バスルームへと向かった。
喪時は、愛美が入浴中に布団の用意をした。

どうやら、愛美はすぐに自殺をするということは無いようだ。
しかし、15歳の少女が目の前で人が死ぬ姿を見てどう思ったのだろうか。
食事中の愛美の態度に、やや怪しい雰囲気を感じつつ、喪時は食器を
洗っていた。

カチャ。
パジャマ代わりに喪時のワイシャツを着た愛美が、バスルームから出てきた。
大人の女性でもなく、子供でもない年齢の色気。
大きめのワイシャツを着込んだ愛美から、そんな色気がかもし出され、
喪時の心臓が高鳴った。
「あ、さ、さっぱりした?」
喪時は動揺と欲情を抑えつつ、愛美に話し掛ける。
「うん」
「そう。布団、あっちの部屋に用意しといたからさ」
愛美は頷くと、布団を用意した部屋に入って行った。

喪時も入浴を終え、ベッドに横になるが、先ほどの愛美の姿が頭にちらつき、
なかなか寝付くことができない。
「ふぅ。やっぱり、抜いてから寝るか・・・」
喪時は愛蔵の一冊を本棚から取り出し、自慰行為を始めた。
「はぁはぁはぁ」
写真に写っている女性の顔が、なんとなく愛美に見え始めた。
「はぁはぁ、ま、愛美・・・」

カチャ。
自慰行為に集中していた喪時の前に、愛美が現れた。
「うわ!」
突然のことに、喪時は息子を握り締めたまま、硬直してしまった。
愛美も喪時の姿を見つめたまま、硬直している。
「え、えぇと、その、これは・・・」
喪時はしどろもどろになり、言い訳を考えはじめるが、この状況では、
思い浮かぶはずもなかった。

つん。
愛美が息子を握り締めた手の先から出ている、亀頭部分を突いた。
「うぇ」
驚きのあまり、喪時が変な声を上げる。
「エッチな気分になってるの?」
「あぁ・・・。う、うん・・・」
「そう・・・。エッチな気分なんだ・・・。私とエッチしたい?」
そう言った愛美の顔は、とても15歳には見えない、妖艶さに満ちていた。
「う、うんうん」
「そう。じゃぁ、私のお願い聞いてくれる?」
愛美は、喪時の亀頭部分を撫でながら言った。
「き、聞く! 何でも聞く!」
愛美に撫でられ、喪時の息子が更に大きくなった。
「じゃぁ、エッチなことをしてあげる」
愛美はそう言うと、喪時の股間に顔を埋めた。

愛美の暖かい手が喪時の息子を握り、舌で睾丸を丹念に舐め始める。
「あぁ・・・」
喪時はとろけるような快感に全身が包まれた。
ちゅっちゅっちゅ。
愛美の舌が睾丸から離れ、息子にキスをし始める。
亀頭部分にキスされた時、喪時の全身が痺れるような快感が走った。
愛美の舌が息子の根元から、亀頭に向って這う。
愛美の舌が亀頭部分に差し掛かるころには、すでに先走り汁が亀頭から
溢れ出していた。
息子の先端が口に含まれ、舌で亀頭を舐めまわす。
愛美の舌が尿道に差し入れられると、喪時は限界を迎えた。
「で、出る。でちゃう」
愛美の口が窄まり、更に吸い上げる。
「ああぁぁ・・・」
喪時は堪え切れず、愛美の口内で射精してしまった。
愛美が、口内から喪時の息子を抜くと、口の端から精子が溢れ出した。

コクコク。
愛美が上を向き、喪時の精子を飲み下した。
喪時の息子は射精したにも関わらず、未だに立ちっ放しの状態だった。
「今度は、俺が・・・」
喪時は愛美を脱がし、ベッドに寝かせる。
愛美の胸は、まだ発育途中らしく、膨らみはまだ小さく、小さな乳首
が可愛らしく上を向いていた。
喪時は愛美の乳首に舌を這わせ、反対の乳房を揉み始めた。
「い・・・」
膨らみ途中の胸は、揉まれるのが痛いらしく、愛美が小さな苦痛の声を漏らした。
「あ、痛かった?」
愛美は首を横に振ったが、やはり痛かったのか、目の端に涙が浮かんでいた。
喪時は胸を諦め、下半身に手を伸ばした。

愛美の下腹部は、まだ無毛に近く、産毛のような毛が生えているだけだった。
喪時が頭を下腹部に移動させると、愛美が腿で喪時の頭を挟んだが、喪時が
愛美の脚を広げると、抵抗せずに脚を開いた。
愛美のスリットから小さな肉芽が顔を覗かせている。
喪時が割れ目に合わせ、舌を這わせる。
「ん・・・」
愛美が小さく喘いだ。
喪時の舌が愛美の肉芽を捉える。
ちゅ。
喪時が肉芽にキスをすると、愛美の体がビクっと動いた。
喪時はそのまま肉芽を口に含み、舌を這わせる。
「ぁぁ・・・」
愛美の割れ目から、うっすらと愛液が滲み始めた。
喪時は、滲み出した愛液を舐め、舌を膣口へと入れた。
「ぃぃ・・・」
舌を出し入れすると、愛美の口から喘ぎ声が漏れ始めた。

「もう、我慢できない。入れるよ」
喪時がそう言うと、愛美は小さく頷いた。
愛美の膣内は、まだ小さく、喪時の息子を激しく締め上げる。
「はぁはぁはぁ」
喪時はがむしゃらにピストン運動を繰り返す。
「はぁはぁはぁ、い、いく!」
喪時が絶頂を迎える瞬間、愛美の足が喪時の腰に絡みつき、
喪時は愛美の中で射精した。
「あぁぁ・・・。はぁはぁ・・・」
射精を終えた喪時は、愛美から息子を引き抜き、肩で息をする。
こぷっ。
愛美の膣内から、喪時の精子が溢れ出して来た。
喪時は、何度も愛美を求め、空が白み始めてから眠りに落ちた。

 

喪時は、昼過ぎにようやく目を覚ました。
喪時の隣には、すでに愛美の姿は無く、喪時は愛美の姿を探した。
リビングの扉を開けると、愛美が食事の用意をしていた。
喪時は安堵し、愛美に声を掛けた。
「おはよう・・・って、もう昼か」
愛美はフライパン片手に、卵と格闘していた。
どうやら、スクランブルエッグでも作ろうとしているようだが、
愛美はあまり料理をしたことがないのか、それとも不器用なのかは
判らないが、コンロの周りには大量の卵が散乱していた。
「お風呂沸かしてあるから」
「う、うん。ありがとう・・・」
冷蔵庫にある卵だけで、スクランブルエッグが完成するかな?
喪時はそんな事を考えながら、バスルームへと向った。

喪時がシャワーを浴び、さっぱりしてリビングに向うと、すっかり食事の
準備が整っていた。
パンにサラダ、スクランブルエッグと簡単なものだったが、両親が死んで
から一人でしか食事をしていない喪時にとっては、愛美と食べる食事は
特別な味がした。

喪時は食事を済ますとソファに座り、テレビのリモコンを操作する。
テレビに昼ドラが映し出された。
昼ドラは、暇な主婦が観るようなドラマで、ドロドロした展開が多いのだが、
一度観ると病みつきになるらしく、すでに喪時も日課になり始めていた。
洗い物を終えた愛美が、喪時の横に座り一緒にドラマを観始めた。
テレビには、不倫相手とのラブシーンが映し出されていた。
やがて、どちらとも無く、二人はお互いの体を求め始めた。

二人は何度も求め合い、愛美が喪時の腕を腕枕にし、喪時の耳をイジっていた。
「ねぇ、昨日のお願いなんだけど・・・」
愛美は、喪時の上に覆い被さり言った。
「ん? あぁ、お願いって何?」
「喪時君に力を貸して欲しいんだ」
「俺に? 時間を止める力のことか?」
「うん」
「俺に出来ることなら、力を貸すけど、一体何をやるつもりだ?」
「復讐・・・」
そう言った愛美の顔は、何処か影が落ちていた。
「復讐? 愛美を苛めた連中へのか?」
喪時は起き上がり、愛美の顔を見つめる。
「そう。私を苛めた人たちに復讐したいの。手伝ってくれるよね?」
愛美も起き上がり、喪時にキスをする。
「う、うん。分かった・・・」
「ありがとう」

〜〜〜 男性教師 〜〜〜

最初のターゲットは、愛美の訴えを無視した学年主任の教師に決まった。
男性教師は35歳。性格は明るく、運動部の顧問をやるなど、活発な教師で
生徒から慕われている。
面倒見も良いほうで、普段からイジメがあったら相談に来いと、生徒に言って
いたらしいが、実際に愛美が相談に行っても何もしてくれはくれなかった。

愛美が喪時と同居を始めて、すでに1週間が経過していた。
愛美が家出したことは、すでに学校側にも連絡が入っていることだろう。
ターゲットの教師は学年主任をやっているので、そのことは当然知っている
はずである。
まして、イジメの相談を受け生徒のことだから、印象深いだろう。

ターゲットは、駅から歩いて15分程のワンルームに一人で住んでいる。
喪時と愛美は、ターゲットが駅から現れるのを待ち、車で先回りした。
愛美はターゲットの部屋の前で待機し、喪時は塀の影に隠れる。
ターゲットが愛美を見れば声を掛けてくるはずだ。

数分後、ターゲットが部屋の前で愛美を発見し、声を掛けてきた。

「岸田? おい、岸田じゃないか!」
「先生・・・」
「こんなところで何をやってるんだ? いや、それよりも家には帰ったのか?」
ターゲットは部屋の前に居る愛美を見たとき、困惑の表情を見せたが、教師と
言う職業柄か、すぐに気を取り直したようだった。
「先生に相談があって・・・」
「相談?」
男性教師の顔に、再び困惑の表情が浮かぶ。
ターゲットは部屋の鍵を開け、愛美の手を引きながら言った。
「ま、まぁ、こんな場所じゃ何だし、取りあえず部屋に入れ」
愛美はターゲットに促されるまま、ターゲットの部屋の中へと入った。
喪時は、手にしたカメラで、そのシーンを撮った。

「止まれ!」
喪時は時間を止め、ターゲットの部屋へと向う。
鍵はターゲットが外しているので、問題なくドアが開いた。
喪時がターゲットの部屋を見回し、隠れる場所を探す。
ワンルームらしく、あまり隠れるような場所はないが、クローゼットの中であれば
隠れていられるだろう。
喪時はクローゼットに隠れることにした。

ターゲットと愛美が部屋の中に入ると、ターゲットは愛美を奥のテーブルへと
案内した。
「それで、相談というのは、何だ?」
男性教師が、冷蔵庫を開きながら言った。
「先生は、どうして私が苛められているのに、何もしてくれなかったんですか?」
「あ、いや、それは、そう、イジメの問題はいろいろ複雑だからな。
調査なんかでいろいろと時間が掛かるんだ。
決して、何もしてなかった訳じゃないんだ」
ターゲットがジュースをお盆に乗せ、愛美の座るテーブルへとやってきた。
男性教師の視線が泳ぎ、表情には明らかに動揺の色が浮かんでいる。
愛美は、そんな男性教師の表情を見て、復讐を決行することに決めた。

愛美がシャツのボタンを外し始めた。
「き、岸田」
愛美がシャツを脱ぎ、上半身裸になった。
愛美の合図だ。喪時は愛美が服を脱いだのを確認すると、時間を止め、
クローゼットの外に出る。
喪時は男性教師のズボンをパンツもろとも脱がせると、部屋の外に出て、
カメラを準備した。

時が動き出きだす。

愛美は男性教師の下半身が裸なのを確認すると、悲鳴を上げ外に飛び出した。
「きゃぁ〜」
男性教師は上半身裸の愛美を追いかけ、ドアの外へ追いかける。
「お、おい、岸田!」

ドアがから出てくる二人を確認すると、喪時がその姿をカメラに収めた。
何人かの住人が、愛美の悲鳴を聞きつけ、ドアを開き、愛美と男性教師を目撃する。
喪時はそれらを確認し、住人に聞こえるように言った。
「中学生教師が、女生徒を襲ってるぞ!」
住人の視線が男性教師に集まり始めた。
「あ、いや、違うんです!」
男性教師は必死に言い訳をしているが、下半身裸ではまるで説得力が無い。

喪時は、住人の関心が愛美に向かないうちに、再び時を止めた。
「止まれ!」
喪時は愛美を抱え、車の中へと入った。
時が動き出し、喪時と愛美は車でその場を走り去った。

下半身裸の男性教師は、愛美を探しているようだが、愛美の姿を見つけることは
出来なかった。
「岸田、どこだ? まったく、岸田は何を考えて・・・」
「下半身裸で何やってるのかしら・・・」
住人のヒソヒソ話が、男性教師の耳に届く。
「え? あ、わ〜」
男性教師は、自分の下半身が裸なのに気付き、慌てて股間を押さえながら部屋に戻った。
喪時と愛美が車で走っている途中に、何台かパトカーとすれ違った。
住人の誰かが、警察を呼んだらしい。

今回、喪時は2枚の写真を撮った。
一枚目は、男性教師が愛美の腕を引き、部屋に入れるシーン。
もう一枚は上半身裸の愛美を、男性教師が追いかけているシーンだ。
どちらか1枚なら、それほど意味が無いが、2枚揃うと男性が少女を無理やり部屋に引き込み、
暴行されそうになった少女が逃げ出したように見える。
喪時は、2枚の写真と共に、男性教師の名前と住所、学校名などをマスコミ何社かにフリー
メールで送信した。

翌日、学校の前にはたくさんの報道陣が訪れていた。
昼のワイドショーでは、男性教師の実名入りで報道され、男性教師はあの日から数日間
取調べを受けた。
警察側では少女の正体が不明ということで、不起訴処分とした。
しかし、学校側ではPTAの圧力により、男性教師を解雇処分に決定した。

数日の間ワイドショーで報道されていたこと事件も、今では他のニュースに切り替わっていた。
喪時は、裸の愛美を背後から抱き寄せた。
「次のターゲットは誰にする?」
愛美はテレビを観ながら答えた。
「まだ復讐は終わっていないわ。だって、彼はまだ生きているもの・・・」
愛美は空ろな目で、テレビを見続けながら言った。
「社会的に抹殺されただけじゃ、満足できないのか?」
愛美は無表情のまま答える。
「できないわ・・・。あの人に相談したときに助けてくれたら、私はこんな
ことにならなかった・・・」
喪時は愛美の肩を両手で掴む。
「殺すつもりなのか?」
「やってくれるわよね?」
愛美が喪時の首に手を絡ませ、口付けをする。
「分かった・・・」

マスコミの報道が沈静化すると、学校からマスコミの姿が無くなっていた。
男性教師は、形式的には自主退職の形を取り、引継ぎや、ロッカー整理などで学校を
訪れ、憔悴しきった顔で駅のプラットホームに立っていた。

喪時と愛美は、駅のプラットホームで男性教師を待ち伏せていた。
「どうやら、着たようだ」
昼過ぎということもあり、プラットホームの上はまばらだった。

「三番線に上り電車が参ります。
危ないですから白線の内側に下がってお待ちください」
ホームのスピーカーから電車が来たことを知らせるアナウンスが流れる。

愛美は男性教師に気付かせるように、男性教師とすれ違った。
「岸田!」
男性教師が愛美に気付き、振り返った。
愛美がホームの先頭に向かい、走り始める。
「おい、岸田! 待て!」
男性教師が愛美を追いかけ、走り始めた。

「止まれ!」
喪時が時間を止め、男性教師に近づいた。
「あんたには恨みは無いが、愛美のご希望なんでな。悪く思わないでくれ」
喪時が男性教師を動かし、線路へと押し出した。

プワーン。
電車から、警告のホーンが鳴った。
「きゃ〜」
どこからとも無く、悲鳴が聞こえた。
男性教師は電車に轢かれ、息絶えた。
愛美は、男性教師が轢かれる様子を確認し、喪時の元へと歩いてきた。
その顔には、笑顔が浮かんでいるようであった。
喪時はそんな愛美の顔に、戦慄を覚えたのであった。

 

ぴるるる〜。
久しぶりに電源を入れた愛美の携帯から、メールの受信を知らせる音が聞こえた。

件名:やり直して欲しい
本文:
愛美、今どこに居るんだ?
あの件で一番苦しんでいるのは愛美なのに、俺冷たく当たっちゃって悪かった。
出来れば、もう一度やり直したいんだ。連絡が欲しい。

差出人は、愛美の恋人だった達也からだった。
メールを読み終わった愛美の目に、喜びの色が浮かぶ。

愛美の様子に気付いた喪時が、ベッドから起き上がり愛美に問いかけた。
「誰からのメールだ?」
愛美は喪時の隣に座り、喪時にメールを見せた。
「達也君からメールが来たの」
メールを見せる愛美の表情は、いつもとは違い明るい少女に戻っていた。
「達也? あぁ、愛美の彼氏だったやつか」
喪時はメールの内容を読んだ。

「ふーん、やり直したいか・・・。で、愛美はどうする気なんだ?」
愛美が達也の元へ戻ってしまうと、今の関係は終わってしまうだろう。
しかし、これがきっかけで愛美が本来の生活に戻れるなら、それも良いのかもしれない。
喪時はそんな事を考えながら、愛美を見つめていた。
愛美は携帯を弄びながら、考えがまとまらないのか、小さく呟いた。
「どうしたらいいんだろう・・・」
喪時は、愛美の髪を優しく撫でつけながら言った。
「まだ達也ってやつのことが好きなんだろ?
ここでの事はすべて忘れて、そいつとやり直せばいいさ。
何か辛いことがあったら、また俺のところへ来れば力になってやるし」
「う、うん」
そう答えた愛美の顔は、普通の中学生の顔に戻ったようであった。

喪時は、愛美をマンションの玄関まで見送りに出た。
「喪時君、今までありがとう」
愛美はそう言い、背伸びをして喪時の頬にキスをした。
喪時はそんな愛美の行動を愛おしく思い、別れる寂しさがこみ上げてくるのを抑え
ながら愛美の手を握り言った。
「辛いことがあっても、頑張れよ、愛美」
「うん。喪時君もいつまでも引き篭もってちゃダメだよ!」
愛美は、手を振りながら土手の方へと走って行った。
喪時は愛美の姿が小さくなるまで、愛美を見送るのだった。

果たして中学生位の男子が、強姦された彼女を許すことが出来るのだろうか?
愛美を輪姦したヤンキーたちは、もうこの世には居ない。
しかし、その事で強姦された彼女とのわだかまりが、解けるとも思えない。
もし、喪時の彼女が強姦されたとしたら、喪時は許すことは出来るだろうか?
恐らく、すぐには許すことはできないだろう。
中学生の達也にそれが可能なのだろうか?
部屋に戻った喪時は不安に包まれ、愛美を追いかけるために駐車場へと向った。

「確か、今日の19時に土手で会うと言ってたな」
喪時は車で土手に向った。
河川敷の駐車場に車を止め、愛美たちの姿を探すが、薄暗い中で二人を探すのは困難だった。

鉄橋の下に愛美と達也が座っている。
鉄橋の上は車道になっており、橋の明かりで愛美と達也の居る場所は割と明るかった。
「愛美ちゃん、メールにも書いたけど、俺ともう一度やり直して欲しいんだ」
「でも、私・・・」
「愛美ちゃんを襲った連中はもう死んじゃったんだし、愛美ちゃんが
気にすることなんてないよ」
「達也君・・・。本当に私なんかでいいの?」

愛美と達也が無言で見つめ合い、愛美が目を閉ると達也が愛美に口付けをした。
愛美は幸福感に包まれた。
その顔は喪時の家に居るときとは違い、一人の少女そのものだった。
イジメられるようになり、愛美には辛い日々が続いていた。
愛美を強姦した連中が死んでも、男性教師に復讐しても、愛美の心が晴れることは
なかった。
しかし、かつて恋人だった達也が、再び愛美の元へ戻ってきてくれた。
他の人から見れば、些細なことだったかも知れないが、今の愛美にとっては、
これほど大きな幸せはなかった。

「愛美ちゃん・・・」
口付けを交わしながら、達也が愛美の胸を触った。
発育途中の愛美の胸は、喪時のときでもそうだったが、触れるだけで痛みが走った。
「い、いや・・・」
幸福感に満ちていた愛美であったが、胸の痛みにより現実に引き戻され思わず、
達也を拒絶してしまう。
拒絶された達也の顔に怒りの色が浮かび、更に強引に愛美の胸を掴んだ。
「痛い、止めて!」
愛美は達也を突き放し、胸を手で守りながら達也の手から逃れた。

達也は立ち上がり、力任せに愛美の上に馬乗りになる。
「何で嫌がるんだよ! どうせやつらに犯されて処女じゃないんだし、
汚されてるんだから、今更嫌がるなよ!」
達也は一人の女性を見守るには、幼かった。いや、幼すぎた。
達也の欲望を剥き出しにした一言が、愛美の心の傷を大きくえぐった。
立ち直りかけていた愛美に、追い討ちを掛けたのだ。

愛美は達也の一言で、抵抗する気力を失った。
否、生きる気力そのものを失ってしまった。
愛美は夜空を見上げ、空ろな目で呟く。
「やっぱり、やり直せないんだ・・・。私、汚れちゃったから・・・」
抵抗を止めた愛美を見て、達也はすでに一匹の獣と化した。
「へ、へへ。これで俺が仲間内じゃ最初に童貞を捨てるぜ・・・」
達也が愛美の上着を脱がしにかかる。
愛美の上着がたくし上げられ、白いブラジャーが顕になる。
達也が荒々しく愛美のブラジャーをずらすと、愛美の胸が現れた。

達也は乱暴に、愛美の乳首を吸い、反対側の胸を揉んだ。
愛美の目には苦痛のためか、悲しみのためかなのか、一筋の涙が流れていた。
「この日のために、俺、いろいろな本で研究したんだぜ」
達也の手が愛美のスカートを捲くり上げ、パンツへと手を伸ばした。
「どうだ、愛美。濡れてるか?」
愛美は無表情のまま、達也のされるままにしていた。
達也が愛美のパンツを脱がし、秘部を覗き込む。
「これが、女の・・・」

悪い予感がする。この感じは、両親が事故に合う直前に感じた感覚だ。
喪時は必死に愛美を探し、土手を走り回るが二人の姿はなかなか見つからない。
「あいつら、どこに行ったんだよ」
喪時の顔に焦りの表情が浮かぶ。
「反対側の土手なのかも知れないな・・・」
喪時は、車に乗り込み、反対側の土手へと向う。
鉄橋を渡ろうとした喪時の耳に愛美の声が聞こえた。

「・・・止めて!」
喪時は車を止め、辺りの様子を探る。
「何で嫌がるんだよ! どうせやつらに犯されて処女じゃないんだし、
汚されてるんだから、今更嫌がるなよ!」
橋の下で、少年が叫んでいるのが聞こえた。
「愛美たちはこの下か!」
喪時は橋の下へと急いだ。
先ほど少年が発した台詞。それが愛美に対してだったら。
今の愛美があんなことを言われたなら・・・。

橋の下に2人の影が見える。一人は寝ており、もう一人がその上に覆いかぶさっている。
覆いかぶさったやつが立ち上がり、ズボンを脱ぎ始めるのが見えた。
時間が無い!

「止まれ!」
喪時が止まった時間の中を走る。いつもより、空気が重く感じられる。
喪時は必死に走り、二人に近づく。
寝ている方の顔が確認できた。愛美だ。
二人の所に辿り着いた喪時は、愛美の上に覆いかぶさっている達也に蹴りを入れ、
達也を愛美の上からどかした。

時が動き出し、喪時に蹴られた達也が吹き飛ぶ。
ズシャー。

「愛美、大丈夫か? 愛美!」
喪時が愛美の傍らしゃがみ、愛美の様子を伺った。
「私、汚されちゃったんだ・・・。もう、元には戻れないんだ・・・」
愛美は、涙を流しながら、小さな声で何度も呟いていた。

喪時に蹴り飛ばされた達也が立ち上がり、周りの様子を確認する。
何が起きたか、判らないといった様子だ。
達也が、愛美を助け起こす喪時に気付いた。
「あんた、誰だよ?」
達也が喪時に近づき、肩を掴みながら問い掛ける。
喪時は立ち上がり、振り向き様に達也の顔を殴った。

バキッ。
喪時は、生まれて初めて憎しみに身を任せ、人を殴った。
愛美を犯したヤンキーたちの時ですら、感じたことの無い感覚だった。
鈍い音が響き、達也が尻もちをつく。
「いきなり何するんだよ!」
達也が立ち上がりながら、喪時に殴りかかる。
「止まれ」
喪時が時を止めた。

喪時は達也を川まで引きずり、水面に投げ入れた。
時が動き出すと、川に投げ込まれた達也が、川の中で転倒する。
「ぶばべべぼば・・・」
達也がパニックになり、浅瀬で溺れる。
「お前、最低のやつだ」
喪時は川の中に入り、達也の頭を踏みつけた。
達也の顔は水没し、達也が手足をバタつかせ、もがき苦しむ。
喪時が足を離すと、達也が涙目で顔を上げた。
「な、なにするんだよ!」
喪時が達也の髪を掴み、再び水の中へと突っ込む。
「がぼぼ・・・」
喪時が手を離し、愛美の元へと向う。
ようやく息が吸えるようになった達也は、逃げるように川岸へと這い上がった。


愛美じっとこちらを見ていた。
「愛美・・・」
喪時が愛美に近づくと、達也が立ち上がった。
その両手には大きな石が握られており、喪時に向って大きく振りかぶる。
「うわぁぁぁぁ」
達也が渾身の力を込め、喪時に殴りかかった。

「止まれ!」
喪時は時を止め、達也の方を振り向く。
達也は大きな石を振りかぶったまま、止まっていた。
時を止められる喪時の前では、余程の不意打ち以外は無意味な行為だ。
喪時は達也の手から石を奪い取ると、その石を達也の頭上へと動かした。
これで、時が動き出せば石は運動力により達也の頭へと移動する。

そして時が動き出し、達也の石の無くなった手が空を切る。
石は達也の後頭部目掛けて一直線に移動した。
ごっ
「うごぱっ」
達也の握っていた石が、達也の後頭部に直撃し、達也の頭から赤く生暖かいものが
流れ始め、達也は前のめりに倒れ、達也は意識を失った。

喪時は、意識を失った達也に石を抱かせ、再び川へ投げ入れる。
達也はそのまま沈み込み、浮いてこなかった。
喪時が愛美の方を振り向くと、愛美は達也と喪時の行動をじっと見つめていた。

喪時が愛美を抱きかかえ、車に乗り込む。
愛美は喪時の家に向う間ずっと、独り言を呟いていた。
「私は汚れている・・・私は汚れている・・・私は汚れている・・・」

喪時の自宅に帰っても、愛美は独り言を繰り返していた。
「私は汚れている・・・私は汚れている・・・私は汚れている・・・」
喪時は、愛美を抱きしめた。
「愛美は汚れてなんていないよ。汚れてない!
ちくしょう! こんなことになるなら、愛美を達也のとこになんて
行かせるんじゃなかった!」
「私、汚れてるよ・・・。ほら、体だって、こんなにドロだらけだし・・・」
愛美の目から涙が溢れ出した。
「愛美、愛美、愛美!」
喪時は愛美を抱く手に力を入れた。
「愛美は汚れてないよ。ドロなんて、お風呂に入ればすぐに落ちるよ。
愛美、お風呂に入ろう。お風呂に入って体を綺麗にしよう」

そう言うと、喪時は愛美の服を脱がせ、浴室へと連れて行った。
喪時は温めのお湯で、愛美の体を洗い流す。
愛美の白い胸には、達也が力強く握った手形が、赤く残っていた。
「愛美、痛かっただろ・・・」
喪時が赤く残っている手形の跡を、優しく舌を這わせる。
愛美の体が反応し、小さな蕾のような乳首が隆起し始めた。
「愛美・・・」
喪時が愛美の胸に顔を埋めると、愛美がそっと喪時の頭を抱いた。

「私、もう生きていたくない・・・。喪時君、私を殺して・・・」
喪時は頭を上げ、愛美の瞳を見つめながら言った。
「ダメだダメだダメだ。俺にはそんなことはできない!
もう、愛美と離れ離れになりたくないんだ!
俺とずっと一緒にいよう!」
愛美の目から、涙が溢れ出した。
「一緒に・・・」
「あぁ、ずっと、ずっと、俺と一緒に居よう。な、愛美。
それに、まだ愛美にはやることが残っているんだろ?」
「やること・・・?」
「そう、まだ復讐する相手が居るんだろ? イジメたやつらに復讐するんだろ?」
喪時は愛美を力強く抱きしめた。
「ふくしゅう・・・ふくシュウ・・・」
「そうだ。復讐だよ。愛美をこんな目に合わせた連中全員に、復讐してやるんだよ!」
愛美が喪時を抱き返し、その目に生きる気力が戻ってきた。
「そうだね。復讐してやらなきゃ。私が死んで、あいつ等がのうのうと生きてるなんて、
我慢できない。あいつらにも、同じ苦しみを味合わせてやらなきゃ」

愛美は、生への執着を取り戻したように見えた。
喪時は安堵し、落ち着きを取り戻し始めるた。
今、喪時と愛美は裸で抱き合っている。
喪時の息子が急速に頭をもたげ始めた。
喪時は、そんな息子の様子に気付き、腰を引いて愛美から離れようとするが、
愛美はしっかりと、喪時を抱きしめていた。
喪時の息子が完全にいきり立ち、愛美のお腹をノックする。
喪時は更に腰を引いたが、愛美には気付かれてしまったようだった。
愛美が顔を上げ、笑顔を見せた。
「あ・・・」
愛美が、喪時のいきり立った息子を握り、喪時は声を上げてしまった。
愛美の手が上下に動き、喪時の息子を擦り上げる。
「う・・・」
そして愛美がしゃがみ込み、喪時の息子を口に含む。
ちゅぷ、ちゅぱ。
「あ・・・う・・・」
愛美の舌先が喪時の息子の先を刺激し、手で竿を擦り上げた。
「はぁはぁ・・・」

愛美の小さな口が開き、喪時の亀頭部分をすっぽりと咥え込む。
舌先で裏筋部分を刺激し、舐め上げる。
「あ、あぁ、もう出る。もうイっちゃうよ、愛美! うっ・・・」
喪時が限界を向え、愛美の口の中に白く熱い精子を発射させた。
喪時の精子は、愛美の喉の奥まで飛び散った。
ちゅぽっん
愛美が喪時の息子を口から引き抜くと、口に収まりきれなかった喪時の精子が
愛美の口元から流れ落ちる。
愛美は、流れ落ちる精子を手で拭い、口に含んだ精子を両手に吐き出した。
愛美の手が、胸からお腹へと移動し、愛美の体に喪時の精子が塗りつけられた。

「喪時君でいっぱいにして! 中も外も全部、喪時君で埋め尽くして!」
愛美がそう言って喪時に抱きつくと、喪時の息子が愛美の体に塗られた精液で滑る。
それはローションにも似た感覚で喪時の息子を刺激し、喪時の息子は再び力を取り
戻し始めた。
「愛美、愛美、愛美ぃ〜」
喪時は愛美のお尻を両手で鷲掴みし、愛美の体を持ち上げる。
後ろから愛美を見ると、可愛いお尻が広げられ、秘部や菊穴が丸見えになっている。
愛美の体が持ち上がり、喪時の息子が愛美の小さな膣口に宛がわれた。
喪時が一気に、愛美を串刺しにした。

「あぁ、感じる! 中で喪時君を感じるよぉ」
「愛美、愛美、愛してる」
喪時は、愛美を持ち上げ、激しく上下に揺する。
「熱い、熱いよ。喪時君の、熱いよ」
「あぁ、いいよ。愛美。イク。またイっちゃうよ」
「出して。私を喪時君のでいっぱいにして!」
「うっ・・・」
「あぁぁぁぁ」

こぷっこぷぷっ
喪時が2回目とは思えないような量の精子を、愛美の中にぶちまける。
愛美の膣内に納まりきれない精子が、足を伝い床に流れ落ちた。

かつての恋人だった達也と再会した愛美だったが、達也の欲望が愛美の心に大きな
傷跡を残した。
再び死を望んだ愛美であったが、イジメた連中への復讐により、生への執着を取り戻す。
しかし、喪時の行動が良かったのかどうかは、喪時には判らない。

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