874(43停止目)

晴れ渡る空は今日も蒼く美しい。
その空に反比例するかのように俺の心は荒んだ雨模様だ。
いや雨など生ぬるい、そうだな、例えるなら真夏日に雪がざくざくと降り狂うが如し。
車は滑り、事故、事故、事故の世紀末。プールは営業中止か―。いや室内プールがあるな。でも営業中止、決定、営業中止だ。
そして急激な気温の変化に耐えられないであろう下種どもは互いに腰を振り子供を町中に産んで廻り少子化対策も万全になるであろう。
・・・・―。
何故、こんなにも俺は荒んでいるか。
原因は分かっている金がないのだ。
金さえあれば俺の思考はここまで狂い荒れ(荒れ狂い・・か)、わけのわからぬ妄想の中、つき進んでいくはずがない。
今にして1時間前、1万・・・と5000円あった。
何を思うか、今考えると思いとどまれと俺は俺を制す、しかしそれはできぬことなのだ。
俺はパチンコ店へ入る。そして負け、今に至る。
泣けてくる、泣いたところでどうにもならぬことなのだ、だが泣かせてほしい、しかし泣かせてもらえるような人間もいない。
誰か慰めてくれ―。
猫背で街を歩く、街の中の欲望は俺の敗北を嘲笑、一段と心を荒んだものとしていった。
「ねぇ、本当にこんなことするだけで1万円くれるの?」
「あぁ。」
その欲望に満ちた声が耳にはいってきたのは人通りの少ない裏路地であった。
そこにはツインテールの女の子と猫背の男がいた。
「待ってて、すぐ着替えてくるから」
そう言うと少女は手に衣装らしきものを持って駆け出した。
その様子を一通り眺めていると猫背の男が視線をこちらにむけた。

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