632(14停止目)

「おい!はやく行くぞっ!」

藤井が怒鳴り声をあげる。

「ちょっ・・ちょっと待てって!もうあと財布と携帯持つだけやから!」

西野の声が部屋に響く。

昨日遅くまで二人で飲んで京都まで出掛けるはずの今日、午前11時出発予定が今もうすでに12時をまわっている

「それにしても、いっつもいっつも準備が遅いやら寝坊やら世話のやけるやつやなぁ」

「ほっとけっ!運転したんねんからいっぱい寝ないとあかんやろ!」

なにかと言い訳をするやつだ・・・

西野は20歳にもなってバイトもしたことないただの高卒ニートだ。

「それにしても今日は久々に暑いなぁ」

今日は昨日までの冬の寒さも消え春を思い出させる日となっていた。

「京都行くついでにドライブがてらどっか行くかっ!」

「まぁ京都までドライブしに行くねんけどな」

「男二人でか・・・」

「そろそろなんかイベントがほしいよな〜・・・」

言うまでもなく、藤井はキモアイドルオタデブ。そして西野は高卒ハゲニート。女なぞ寄りつくわけもない。

「おまえがイケメンでナンパでもできるやつやったらな〜・・・俺にもおこぼれがくるかもしれんのに」

ずうずうしい西野の願いも悲しく藤井はブサイクだ。

「もうその話はええから!とりあえずこの道まっすぐ行くで!」
「国道沿いに行けば京都行くはずやからな!まぁその道で!」
「それにしてもおまえ、最近なんかあったんか?」

突然の西野の問いかけだ

「あぁ・・・まぁいろいろあるんやけどな。」
「いきなり飲もう言ったりドライブやったり・・・付き合う俺の身にもなって話してくれや」
「あぁそれがな・・・」

っっと藤井が話しだそうとした瞬間

ドッッッッ!!!!!!


ガシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


イキナリの爆音・・・

そして気づいた時には隣にいた西野が血まみれの手でハンドルを握り、顔からはどこから血が出てるかもわからないほどのおびただしい量の血が出ていた・・・

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